図書館にて
そういやふと思い出したのだけど、
図書館で本を探していたら
後ろから知らない人に声を掛けられて
「すいませんお勧めの本はなんですか?」と聞かれた。
図書館の人と間違えているのかと思ったら、
そうでもないらしい。
「貴方の読む本が気になりまして」と。
自分はあまり社交的な性質でもないので
「面倒なことに関わってしまったぞ。どう逃げようか」と思っていると、
「これは私の読書感想文です。読んでください」と
紙を渡そうとしてくる。
読まねばならない理由もないし、
正直関わり合いになりたくなかったので
「いえ、忙しいのです。申し訳ありませんが。」と断ると
「何も今読めというのではありません。明日もいますから。その時に感想をおっしゃっていただければ。あなたのおすすめの本の感想も書いてきますし」
ひどく気持ちが悪くなり、
「結構です。無理です。」と後ずさりして距離をとり、
駆け出すように逃げ出した。
後ろではまだ「別に急ぐことはないですよ。待っていますから」
などという声がしたが、振り返らなかった。
5年位前の話。