「片」
最近、「片」という字が異常に気に入っている。
ちょっと前は「海」、「苺」、「倉」とかも好きだったんだけど
もう比にならないくらいに。
暇を持て余して電子辞書の広辞苑を
「あ」から順に見ていた。
それで見つけたのが「片」の字。
普段手で書くときはむしろ嫌いだった。
なんというか不安定だから。
書きにくいのです。
バランスを非常にとりにくい。
ただもうこれは。
意味をじいっと読んで、
文字の形をじいっと見て、
なんといえばいいんだろう。
好きというか、愛というか、
もういてもたってもいられなくなって
この字をよく見ることが出来たのは
なんと素晴らしいだったのだろうと心ふるえるくらいに。
かた【片】
[名]一対のもの、二つで一組のものの一方。片方。片一方。「―や横綱、―や平幕の対戦」[語素]名詞または動詞の上に付いて、複合語をつくる。
1 一対となるものの一方、一方だけ、の意を表す。「―親」「―面」「―思い」
2 不完全な、整っていない、の意を表す。「―言(こと)」「―仮名」
3 かたよる、一方に偏した、の意を表す。「―田舎」「―意地」
4 わずかな、少ない、の意を表す。「―時(とき)」「―手間」
5 しきりに、ひたすら、の意を表す。「鶯は今は鳴かむと―待てば霞たなびき月は経につつ」〈万・四〇三〇〉
どこからどこまでも
不完全なんだ。
「片」って字は、
木の字を半分に切ったものかと考えられたりしてて。
ようするに木の切れ端で。
形だって本当にアンバランスで。
どうしようもないでしょう。
すごーく、
ものすごーく
いいでしょう。この字。
全部が全部、収まるとこに収まってる感じがして。
こんなにも不完全なのにぴったりとしていて。
どうしたらいいのかわかんなくなりそうなくらい
素敵なのです、本当に。