亀
陸の孤島の堤防にいた
風が吹いており潮の流れの速い日だった
同期と釣りをしながら話していると
見慣れぬものが海にいる
15cmくらいの亀が水面から顔だして
ものすごい勢いで沖へと泳いでいたのだ
それだけではただちょっと珍しいものを
見たなあというだけで驚きはしない
しかしどう見てもその亀は
淡水性のアカミミガメだったのだ
「おい、あれって」
「アカミミだな」
「やべえよなあいつ」
「自殺だな」
「網、網どこだ」
「早すぎだろもう届かん」
亀は遠く見えなくなった
荒れた海で、亀のこれからを思い
2人して何と無くやるせない気持ちになっていた
そして2日間
堤防から200m程度離れた
海辺の宿泊施設に滞在していた
朝作業をしていると中国人留学生が
話しかけてきた
砂浜で海亀を保護したという
見せてもらうと海亀ではなかった
あの亀だった
あのアカミミガメだった
いや正確には同一個体かは分からない
分からないがそんなこと、
そんなにあることでもないだろう
「奇跡だよなあの海で」
「そうなーあの海で」
面白いこともあるもんだ
そう思った
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